日本海水学会会長挨拶          

 前会長である神奈川大学大井会長.png井川学先生の跡を継いで,2015年6月より日本海水学会の会長を拝命しました上智大学の大井と申します。よろしくお願いします。日本海水学会の60年を越える活動の歴史をたどると,歴代の会長や諸先輩方の偉業や貢献が数多く見られ,それらに触れるにつけ会長職の重さを痛感しているところです。誠に微力ではありますが,本学会の学術活動を今以上に活性化し,共同体としての本学会のさらなる発展のために努力していきたいと思います。学会員の皆様のご支援とご協力をお願いできれば幸いです。
日本海水学会は,会員数からすると小規模学会に位置付けられると思いますが,学会ホームページの『日本海水学会について』にあるように,海水科学を共通基盤とする研究者・技術者・企業者が互いに交流を深めることのできるユニークな学会です。歴史的には,塩と淡水に関わる研究が学会の中心だったと思いますが,その後,研究対象は海洋生物や海洋環境,塩に関わる調理化学など多岐にわたり今日に至っています。海水学会が,各々の専門は異なったとしても,塩と海にかかわりを持つ研究者等のホームタウンであることを願っていますし,また,海水学会の存在意義はそのような場所であり続けることにあると思います。ところで,学会名鑑では日本海水学会は生命科学分野の農学に分類されており,外部の人が海水学会にもつイメージは内部の我々が想定しているものと相当解離しているような気がします。
 日本海水学会の活動の中心は,日本海水学会誌(学会誌)の発行と研究発表会(年会)の開催かと思います。年6回発行されている学会誌につきましては,個人としてはインパクトファクター(IF)の取得が重要だと考えます。特に研究機関に所属する研究者に対しては,業績(論文)は数だけでなく,質の高い雑誌に研究が掲載されることが強く求められるようになってきています。日本海水学会誌がIFを取得していれば,ここに論文を投稿する意義が相当変わってくるのではないでしょうか。過去に検討されたことがあるかもしれませんし,また,時間のかかる課題ですが,IFの取得は日本海水学会にとって,大きな意義を持つと考えます。年一回開催の年会につきましては,参加した会員及び会員外の方にとっても参加することに何らかの利益があることが重要です。幸いにして海水学会は,関係する多くの方々の努力によって,そのような状態が維持されていると感じています。6月に発足した新執行部もこの流れを絶やさないよう努めていきたいと思います。ただし,学会活動が生き生きと活発であるためには、会員の方々の自律的な参加がなんと言っても不可欠ですので,会員および関係する方々個々人の積極的参加を大いに期待しています。
 2年前の副会長就任以来,日本海水学会の理事会に出席するようになり,本学会が直面している課題を徐々にではありますが理解するようになりました。二大問題は財政の悪化と会員数の減少でしょうか。これらの問題はここ数年で起こったことではなく,おそらくだいぶ以前から問題視されていたことでしょうし,また,これらに対する対策は,過去においても繰り返し指摘され,何らかの手が打たれて来たことと思います。しかし残念ながら未だ解決には至っていないようです。直近の理事会では,財政健全化のための具体策として会員年会費の値上げや研究会補助金の削減等の具体的な対策案も資料に盛られておりました。それらの提案をさらに煮詰め,実行に移すことが現執行部に課せられた課題の1つと考えます。会員数の増加は,多くの学会にとって,永遠のテーマという気がします。会員数を確保するためには,会員にとって魅力ある学会であり続けるとともに,会員外の研究者が入会するになにがしかのメリットのある学会であると言うことにつきると思います。しかし,変化の激しい時代にあって,特に小規模の学会にとっては,これは難しいことだとは思います。そもそも日本で学会が乱立しすぎており,多くの研究者が多数の学会に所属しているという現状があります。会員数の減少に歯止めをかけるための1つの方策は,会員が会員であることの利点を明確に示すことですが, 会員を増やすためには,学会や産業界が関心を寄せるようなテーマを常に開拓していくことが必要でしょう。すぐにいいアイデアが浮かぶわけではないのですが,そのような努力を続けていきたいと思います。
 最後に,会員でないにもかかわらず,日本海水学会のホームページにアクセスした方々に,一言申し上げたいと思います。海水学会は塩と海にかかわりを持つ者が集い互いに交流を深めることのできるユニークな学会です。このような学会をより魅力的なものに進化・発展させるべく,ご協力とご支援をいただければ幸いです。さらに,学会の趣旨に賛同し,会員に加わっていただければ,これ以上の喜びはありません。

 大井 隆夫

                                                                                 
上智大学理工学部物質生命理工学科(〒102-8554 東京都千代田区紀尾井町7-1)
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